Keyword E 食農倫理

Keyword E : 食農倫理

akitsu-imgS01食べないと私たちは命を失います。食べ物の根源は遡れば農業に行きつきます。しかし現在、どれだけの人が作られる最初の現場を想像しながら、食べ物に接しているでしょうか。野菜ならば見当がつくかもしれません。レストランやデパ地下のお総菜ならどうでしょう。スナック菓子やコンビニのスイーツになってくると、内容表示を見てもそう簡単に素性を突きとめることはできません。清涼飲料にだって原料があります。それらの食べ物は、多くのエネルギーを使い、環境負荷を発生させながら、私たちの前にやってきます。生産・製造・流通段階でブラックな労働が使われているかもしれません。そうした日常の食べ物の背後に隠された素性をできる限り透明にし、どんなものを食べるかを通じてよりよい未来社会を考えることのできるしくみを研究しています。

akitsu-imgS02研究とは何のためにおこなうのでしょうか。新しい理論を発見し、科学の進歩に貢献する。新しい技術を開発し、社会の幸せに貢献する。隠れた知識を掘り起こし、人びとが生き残るための英知を高める。結局、研究とは社会をよりよくすることが目的です。たんに頭の良さを競争することではありません。私たちは農業や食のよりよい未来にむけて研究をおこなっています。そのために本や論文を読んだり、いろいろな場所のいろいろな人に話を聞きに行ったり、論文を書いたりします。ときには身体を使って社会に働きかけ、実践を通じてよりよい社会への道を支援する場合もあります。タイの有機農業水田の田植えを手伝うことも、みんなで作業すると楽しいというほかに、その活動を支えたいからです。私たちは現場から考える研究者をめざしています。

akitsu-imgS03日本の人口は減少し始めました。都会だって高齢化と人口減少なのだから、辺鄙な田舎がそうなるのはしかたない。もっと居住地をコンパクト化して、交通・学校・病院などを便利に利用できるようにした方がよい、という意見があります。しかし問題は人の数ではありません。今の3分の1の人口だった江戸時代でも、人は全国の至るところに居住していました。その頃の都市人口は今よりはるかに少なく、人びとは田舎に分散して自然資源に依存した持続可能性の高い暮らしを営んでいました。そんな時代に戻ることは現実的ではありません。しかし、放置され使われていない田舎の自然資源(農地・林野・野草・野生動物など)に目を向けて、持続可能な暮らしと文化の多様性を実現するという将来像を描くことが大切になっています。学生たちとも協力しながら、小さな集落の再生活動に取り組んでいます。

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