Keyword B グローバル

Keyword B : グローバル

いま日本農業を取り巻く内外環境は大きく変わろうとしている。

少子高齢化と人口減少により、日本国内の農産物市場は相変わらず低迷状態にあるが、農村内部でも高齢農家の離農件数が間違いなく増えていくものと予想されます。その影響で、一部地域の過疎問題はより深刻化するかもしれないが、反面、これまでに遅々と進まなかった農地の流動化と経営規模拡大は大きく前進する可能性が出てきました。更に海外に目を向けると、中国を始め、近隣アジア諸国では急速な経済成長で国民所得は大きく向上し、賃金も急上昇し始めました。これまでに安さを武器に多くの農産物を日本に輸出してきたこれらの国々は、近い将来に日本農産物の一大輸出市場になる可能性もあります。日本農業の現状と問題をしっかり見つめた上、新しい発想とグローバル的な視点で将来を見渡しますと、全く新しい景色が見えるかもしれません。変化する今の時代に研究すべき日本国内の農業問題も沢山あります。

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存在感は益々大きくなるが、課題も多い中国

shen-imgS02中国の経済発展と食料需給の変化は日本にも影響があります。その中国は過去30年間に目覚ましい経済発展を成し遂げ、今は世界第2位の経済大国となりました。その過程で、農村経済も社会も大きく変化し、研究すべき農業問題は沢山ありました。近年更に賃金上昇等により、農産物の生産費は国際的にみて割高になるケースが続出。経済が発展し続ければ、戦後日本のように農産物の国際競争力と自給率が急低下する道を辿る可能性があり、国内農業をどう守るかは重要な政策課題となっています。のみならず、農工間の所得格差や農業による環境汚染と食品の安全性問題等々、中国が今直面している農業問題は沢山あります。これらの問題や対策を直接研究するのは勿論だが、日本との比較研究も非常に有意義でおもしろい。戦後日本が歩んできた道、その経験と教訓も中国にとって非常に参考になるからです。

よりグローバルな問題に挑戦する

shen-imgS03GATTがWTOに変わってから、世界の農産物貿易ルールが大きく変わっただけでなく、各国の国内農業政策に関しても初めて共通の規則が作られました。以来、約20年の歳月が過ぎたが、世界の農産物貿易と各国の国内農業政策にどのような変化が起きたのか。特に当時のGATTウルグアイラウンド農業交渉を仕切り、現行のWTO農業規則を実質的に作ったアメリカとEUでは、農産物の関税削減と国内農業改革はどのように行い、また自国の農業と農産物貿易にどういう影響を及ぼしたのか。それらの問題の研究は、他国が農業改革を行う際に参考になりますが、同時にいろんな国と地域に関する同種問題の比較研究を通じて、WTO農業改革の成果や現行のWTO農業規則の抱えている問題点の検証にもなります。次期WTOの農業交渉は今完全停止状態にあります。原因解明と打開策を模索するためにも、現行のWTO農業規則を、アジアの視点、そして途上国の視点から再検証することが強く望まれています。

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