Keyword G 食料自給率

Keyword G : 食料自給率

食料自給率と食料安全保障

kitano-imgS01「食料自給率」という言葉をご存知でしょうか。食料自給率とは大まかに言えば、我々が食べている食料がどの程度国内で生産されたものであるかを割合で示したものです。色々な測定の仕方がありますが、一番代表的なものが、「国内生産量÷国内消費仕向け量(×100)%」で示されます。生きていくために必要な熱量(カロリー)で計算された日本の自給率は約40%です。すなわち、皆さんが摂取する食品(のエネルギー)のうち40%しか国内から提供されていないということです。この数字を見てどのように感じるかはそれぞれだと思いますが、多くの方が多少の不安を感じたのではないでしょうか。国際関係がますます多様性・重要性を増す中、いざという時の食料供給機能を確保、すなわち「食料安全保障」のあり方が問われています。

食料問題を経済学的に考える

kitano-imgS03当学科名に付されている「経済学」という学問は、「社会科学の女王である」と言われてきました(※)。それは経済学が非常に体系的で論理的な思考を重視するからです。では食料問題に経済学を応用するとはどういうことでしょうか。上で日本の食料自給率が40%となっていることを述べました。実は日本もかつては自給率が100%でした。19世紀中ごろまで鎖国をしていたのですから当然ですね。では、どうして日本の食料自給率は40%まで下がってしまったのでしょうか。これは日本が交易をおこなうようになったこと、世界の国々の中で相対的に経済発展を早く遂げたこと、日本国土に平地が少なく急峻な土地が多いこと等が関係しています。こうした様々な社会の長期・短期の動向を、その経済環境や社会的条件との関係の中で解き明かしていく、その手助けをする強力なツールが経済学です。
(※)根岸隆(2014)『経済学史入門』, 放送大学教育振興会

農業の持続可能性

kitano-imgS02自給率が40%に落ち込む中、近年大きな問題となっているのが、「耕作放棄地」問題です。耕作放棄地とは、農地であった場所が1年以上耕作されず、これからも作物を作付する予定のない土地を指します。こうした耕作放棄地は現在国内合計で滋賀県に匹敵する面積に広がっています。農地は一旦耕作が放棄されると復旧するために非常に大きな労力がかかります。国民が安心して生活できる水準に自給率を維持するためにも耕作放棄地の解消や農地の有効利用が求められています。昨今、社会においてビッグデータと呼ばれる様々な分野における大量データの利用が注目されています。農業分野にも公式統計やITを活用した豊富なデータが蓄積されており、それを耕作放棄地の発生要因の分析に活用することが可能です。経済学的な考え方や統計学的な手法を応用しながら、データによって農業と社会の関係を明らかにしていくことが我々に課せられたミッションです。

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